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【メジャーデビューから3年】鈴木瑛美子というジャンルを作り上げたい

鈴木瑛美子

【メジャーデビューから3年】鈴木瑛美子というジャンルを作り上げたい

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3月30日、待望のファーストアルバム『5 senses』をリリースした鈴木瑛美子さん。メジャーデビュー曲「FLY MY WAY / Soul Full of Music」から新曲までを詰め込んで、「ここまでの鈴木瑛美子」と「今の鈴木瑛美子」が感じられる内容になっています。先行配信された「A New Story」は亀田誠治さん、「カナリアの歌」はアンジェラ・アキさんがプロデュースするなど、制作陣も豪華な顔触れ。また初回生産限定盤のみに付属するDisc 2には「5 senses -World Trip-」として、「音楽で世界を“旅”する」をコンセプトにした6曲が収録されています。そういった話題や、曲作りなどについてお聞きしました。
 

表現とコミュニケーションの幅が広がった3年間

──この夏でメジャーデビューから3年経ちますが、振り返ってみていかがですか。
 
鈴木 「何をしたらこの時代に合うのか」って、すごく考えさせられました。普通だったら、デビュー後は曲をリリースするごとにいろんなところを回ったり、定期的にライブをしてたと思うんですけど、コロナ禍によりできなくなってしまって。一気にやって来た変化に心をついていかせるのが大変でしたし、私は元々「声を直接届けたい」という気持ちが強いので、ライブができないのは苦しかったですね。
 
──そこで気持ちを切り替えて、オンラインライブやYouTubeの動画投稿を始めたと。
 
鈴木 “切り替えた”というより、伝えられる、届けられる術がそれしかなかったんです。ただ、コメントで繋がることの楽しさに気付けたのはよかったですね。どうやったら有観客ライブでもリアルタイムでみんなの声が聞けるだろうと考えられるようになったので。
 
──コロナ禍を経験してメンタルを保てるようになったお話も拝見したのですが、意図的に「ポジティブに行動しよう」としていたわけではなかったんですね。
 
鈴木 友人のおかげで、自分自身の性格が落ち着いてきたんだと思います。いろんな友達と相談しあいコミュニケーションを取ることで、人の考えに触れて「そういうこともあるんだ」って自分の幅が広がったような気がしていて。いまだにちょっと感情の起伏が激しいときもあるんですけど、全体的に一歩引いて見られるようになったし、与えられた状況のなかで常に最大限を探せるようになりました。
 
──コロナ禍でもコミュニケーションが減らないように意識されていたんですか。


 
鈴木 どちらかというと、ひとりひとりと濃くコミュニケーションが取れるようになったという感じです。行動が制限されていたからこそ、価値観を共有できる人や、全く違うから足りない部分を補える人など、本当に大事な人が自分の周りに残ったのが大きかったですね。
 
──ミュージカルに出演し始めたのも、この3年間で大きなトピックのひとつかと思います。ミュージカル俳優としての経験は、アーティスト活動でどのように活きていますか。
 
鈴木 以前より「こういう経験してきたな」とか「この歌詞は、自分のここに当てはまるな」とか深く考えながら歌えるようになりました。自分とは別の人間を演じるには、自分の人生で経験したことを役とコネクトする必要があるので。あとは、わかりやすい身振りや手振り、表情などを、どんどん自然にできるようになりましたね。自分を表現しやすくなったというか。YouTubeライブをアーカイブで見返していても、「やりすぎたな」と思うことが減ったんですよ(笑)。
 
──アーティストとして、本当に伝えたいことを表現しやすくなったんですね。
 
鈴木 あとは、『ジェイミー』を最後までゴールできたことも大きかったですね。以前出演した『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド~汚れなき瞳~』と『RENT』はコロナ禍の影響で千秋楽までいけなかったんですけど、出演3作目にしてやっと最後まで演れたんです。
 
──やはり千秋楽は、特別なものですか。
 
鈴木 熱気や活気が違いますね。ミュージカルはナマモノだし、お客さんが100%同じということはないから、厳密にいえばどの公演も違っているんですけど、作業としては同じことを繰り返しているわけじゃないですか。それをずっと続けてきたことが終わる日なんですよ。大千秋楽を迎えて満たされる感覚は、実際に経験しないと得られない。『5 senses』に収録した「I sing」は、そんな気持ちを歌詞にした曲なんです。もう1回あそこへ行きたい、これだからミュージカルはやめられないなって。
 
 
『5 senses』と『5 senses -World Trip』に込めた思いとは?
 
 
──お話に出てきた『5 senses』は、鈴木さんの新たな可能性を感じさせる作品になりましたよね。1番思い入れの深い曲は、どちらになりますか。
 
鈴木 やっぱり「A New Story」かな。数年前に作ったときは「こういう関係が素敵」とか「こういうのが羨ましい」とか歌詞に憧れを並べていたんですけど、何度も歌うことで歌詞が体に染みこんでいて。ちゃんと歌に家族や友人への愛情を乗せられるようになりました。
 
──アレンジもシンプルですよね。
 
鈴木 めちゃくちゃ綺麗じゃないですか? 仮でコードを当てたメロディーだけのデモを亀田誠治さんにお渡しして肉付けをお願いしたら、最強の化学反応が起きました。鈴木瑛美子のメロディーと亀田誠治さんのアレンジが、すごく綺麗にまとまった曲だと感じています。
 
──“どんな映画も⼀作⽬には敵わない”など、歌詞も秀逸でした。鈴木さんは、感じたことを言語化するのが得意ですか。
 
鈴木 歌詞だとそうかもしれないですね。普段話すときは、どういう言葉を使ったらいいかわからないから下手っぴだけど(笑)。「A New Story」は、サビの“笑って”が音と一緒に出てきました。
 

──基本的に、歌詞とメロディーはセットで思いつくんですか。
 
鈴木 楽器を使わず頭のなかに浮かんでくるときは歌詞とメロディーが同時ですね。ピアノやギターを使うときは、詞先かもしれないです。歌詞の雰囲気にあった楽器を使うクセがあるんですよね。今回のアルバムだと「未来」はピアノ、「Tell me」と「重愛罪」はギターで作っています。
 
──「Tell me」と「重愛罪」は、共感する人が多そうな曲ですよね。
 

鈴木 本当ですか? やっぱりみんな一緒なんだな(笑)。この2曲に共感できる人は、きっと愛情を感じられる繊細な人なんでしょうね。こんなにも気持ちが収まらなくなってしまうのは、大きな愛を感じた経験があるからこそだと思うので。重い歌に思われがちですが、どちらとも純粋な想いの歌なんですよ。
 
──Disc2の『5 senses -World Trip』についてもお伺いしたいのですが、こちらの構想はいつからあったんですか。
 

鈴木 デビュー前に「どんな作品をリリースしよう」と考えている頃からですね。たくさんの方から「いろんな曲を瑛美子ちゃんの声で聴いてみたい」とお声をいただいていたこともあり、それを叶えてみたいとずっと思っていたんです。今回のアルバムで、やっと実現することができました。
 
──実際に1枚でいろんな曲を飛び回ってみて、いかがでしたか。
 
鈴木 それぞれの国やジャンルの”らしさ”を壊すことなく、自分が作品のなかに入っていくのはけっこう大変でしたね。曲に合った声質を作らなければいけないし、持っていない技術も身につけなきゃいけない。インドの独特のこぶしとか、本当に難しくて。
 
──どの楽曲も各国のカラーが出ていたと思います。1曲目の「春待ち霞唄」は、詩吟をやっていた人のような風格がありますし。
 
鈴木 「春待ち霞唄」では、自分の声を尺八にすることを考えてました。“MA”や“HA”って発音するときに、声に勢いをつけてフゥォンってすると和楽器っぽくなるんですよ。
 
──どの曲に対しても「この楽器で歌おう」というイメージがあるんですか。
 
鈴木 自分はゴスペルやブラックミュージックが好きなので、基本的にはサックスのイメージで、叫ぶときはトランペット。あとはエレキギターにもなりますし、フルートやバイオリンにも。クリアな音が出てないのでピアノにはなれないんですけど、ハーモニカやオルガンならなれます。
 
 
自身で考える“鈴木瑛美子らしさ”とは?
 

 

──歌い方に楽器のイメージを当てるのも独特かと思いますが、現時点で鈴木さんの考える“鈴木瑛美子らしさ”ってなんですか。
 
鈴木 変わってること! 化学反応や違和感を大事にしています。たとえば「未来」の“あなたの横を⾜早に すり抜けるこの想い”の旋律って、なんで思い浮かんだのか自分でもわからないくらい、常識的に考えると気持ち悪いんですよ。でも、そんな化学反応を常に楽しんでいる自分もいる。人と違う視点が、感性に繋がってるのかも。
 
──“人と違う視点”とは、どのようなことですか。
 
鈴木 どんなものごとにも「○○っぽいな」とか「○○だったらいいのに」と頭を使うことが多くて。衣装にもすぐタイトルをつけちゃう(笑)。今日は“中世のかぼちゃ”かな。そういう発想が、音楽やファッションなど自己表現と繋がっている気がしますね。
 
──鈴木さんって、歌い出しへのこだわりも強くないですか。
 
鈴木 それは、アンジェラ・アキさんに憧れているからだと思います。ひとこと目や1フレーズで世界観を感じられるアンジェラさんの歌詞や音楽が本当に好きで、気づいたら自分もそこに注力していたというか。歌の上達と同じように、憧れへ向かっている最中は自覚がなくても、やりたくてやっていたら自然と取り入れられるんだなって。今後も歌唱力だけじゃなく作詞作曲の能力も上げていきたいです。
 
──作詞作曲の能力が上がるとは、どのようなことでしょうか。
 

鈴木 たとえば…一例ですが、back numberさんにはback numberさん、RADWIMPSさんにはRADWIMPSさん、絢香さんには絢香さんの音楽があるじゃないですか。それぞれがコード進行や言葉のチョイス、楽器の入れ方などにこだわりを持っていて、アーティストのカラーとして確立されている。私も鈴木瑛美子というジャンルを作り上げたいんです。今はまだ探り探りなので、研究生くらいかな。
 
──何を探っているところが大きいですか。
 
鈴木 自分に合っているものと表現したいものの中間点ですね。自分で曲を作ると「未来」や「重愛罪」のように中音域で歌うものになりがちで。すっごい張り上げて高い声で歌ったり地声で歌ったりするような、いわゆる鈴木瑛美子っぽい曲があまり自分から出てきてないんですよ。なので、いつかホイットニー・ヒューストンが歌うような曲も生み出せるようになりたいなって思っています。
 
──『5 senses』を越えた次の作品では、新たな鈴木さんに出会えるかもしれないですね。
 
鈴木 自分でも、鈴木瑛美子の第2クールが始まる気がしています。今まではいろんな面をバーッと見せてきたので、これからは2章、3章とひとつずつの面を見せていきたいですね。
 
──楽しみにしています。最後に「これだけは、どうしても伝えたい」ということがあったら、お願いします。
 

鈴木 『5 senses』は耳だけでなく、五感で楽しんでほしいという気持ちを込めて作り上げました。ぜひ鈴木瑛美子をたっぷり堪能してください。また、今作に携わってくださった方が、3名亡くなっていまして。その方々にも心からの感謝の想いをお伝えしたいです。
 

 撮影 長谷英史

 
 
1stアルバム『5 senses』
2022.3.30 ON SALE

 
 
 
 
鈴木瑛美子1stAL『5 senses』発売記念イベントスケジュール
●3月30日(水)18:00
(東京)サンシャインシティ 噴水広場
●4月3日(日)①13:00 ②15:30
(東京)ダイバーシティ東京 プラザ 2Fフェスティバル広場
●4月9日(土)①13:00 ②15:30
(東京)ららぽーと立川立飛 2Fイベント広場
●4月10日(日)①13:00 ②15:30
(埼玉)イオンレイクタウン mori 1F木の広場
●4月16日(土)①13:00 ②15:30
(愛知)アスナル金山 明日なる!広場
●4月17日(日)①13:00 ②15:30
(大阪)あべのキューズモール 3Fスカイコート
●4月23日(土)①13:00 ②15:30
(茨城)イオンモール水戸内原 メインコート
●4月24日(日)①13:00 ②15:30
(千葉)イオンモール木更津 サウスアトリウム
 

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